【「包丁のシリアルナンバーを揃えてください」】
少しイメージしていただきたいのですが、あなたは、とある刃物メーカーのブランドマネージャーです。
会社では剃刀から包丁まで、様々な刃物を生産しています。
その中でも、最高級品である包丁セットは、10本セットで30万円を超える超高級品です。
バラ売りでも、1本数万円します。
最高の品質を表すため、1本1本にシリアルナンバーが振られています。
あるとき、とあるお客様からクレームの連絡が入ります。
「10本セットを買ったのに、シリアルナンバーがバラバラです。
10本とも同じナンバーにしてください。」
確かに、10本セットと言っても、10本を同時に製造するわけではなく、それぞれのラインで製造して、詰め合わせるだけです。
当然、シリアルナンバーはそれぞれのタイミングで刻印されるので、10本のナンバーが一致することは奇跡です。
さて、ここで人生の選択です。
a)なんだろう、この客は。頭おかしい。馬鹿馬鹿しい話には付き合えない。そんな細かいことに関わりたくない。早く帰りたい。
→a)へ
b)なんだろう、この客は。普通に考えてシリアルナンバーは揃うはずないんだけど、それを揃えてくれというのは何か理由があるのだろうか。
→b)へ
→a)
クレーマーからの悪質なクレームだと判断したあなたは、顧客相談窓口担当者にメールを転送し、その道のスペシャリストに対応をお願いすることにしました。
よくある話なので、彼らも対応には慣れたものです。
すぐに顧客に連絡を取り、事情を説明し(それも丁寧な語り口で)、シリアルナンバーが揃わない製品であることを受け入れてもらいました。
もちろん、あなたもただ仕事を振っただけではありません。
これを機にシリアルナンバーが刻印されるまでの製造過程をもう一度学びなおしました。
もともと勉強や学習が嫌いではないので、社内資料をひっくり返している時間はとても楽しいものでした。
調べていると、元ライン長(製造ラインの班長。定年5年前くらいに事務職に移るのが通例。)の先輩がフォローしてくれました。
彼の話を聞くと、もっと意外なこともわかってきました。
シリアルナンバーは最後ではなく、最初に刻印しているようなのです。
考えてみれば当たり前で、包丁の形にすると、持ち手の部分が膨らみます。
その状態で刃の部分に刻印するのは非効率なのです。
そこで、もっと早い段階で刻印しているとのことです。
これは資料には書いていない製造ノウハウなので、実際の製造ラインにいた人だから知り得る話でした。
そして、もう一段階の工夫として、刃の背中側(切れる方の対極側)に刻印していることも知りました。
こうすれば、
1)製造工程のごくごく初期に刻印できて生産効率が上がる。
2)刃を研いだり、長く使い込んだりしても、摩耗しない部分なので刻印が長持ちする。
というメリットがあるのです。
なるほど。
さすがは世界の貝印(あ、言っちゃった。)
素晴らしいものづくりのノウハウです。
世界3位のブランドはこうして作られているのか。
そうこうしているうちに、顧客相談窓口担当者から連絡があり、無事、クレーム対応が終わりましたとの情報を得ます。
メールを転送したのは、定時近くだったのに、まだ時計は7時前です。
顧客対応も万全です。
あなたは探究心と、ほんの少しの防衛本能を満たし(守り)、充実した気分で会社を出ました。
(やはりそれぞれの専門家に任せてよかった。
さらなる知識も得たし、今日は実り多い1日だった。)
→b)に続く
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