【包丁のシリアルナンバーを揃えろ!(神対応 ver)】
少しイメージしていただきたいのですが、あなたは、とある刃物メーカーのブランドマネージャーです。
会社では剃刀から包丁まで、様々な刃物を生産しています。
その中でも、最高級品である包丁セットは、10本セットで30万円を超える超高級品です。
バラ売りでも、1本数万円します。
最高の品質を表すため、1本1本にシリアルナンバーが振られています。
あるとき、とあるお客様からクレームの連絡が入ります。
「10本セットを買ったのに、シリアルナンバーがバラバラです。
10本とも同じナンバーにしてください。」
確かに、10本セットと言っても、10本を同時に製造するわけではなく、それぞれのラインで製造して、詰め合わせるだけです。
当然、シリアルナンバーはそれぞれのタイミングで刻印されるので、10本のナンバーが一致することは奇跡です。
さて、ここで人生の選択です。
a)なんだろう、この客は。頭おかしい。馬鹿馬鹿しい話には付き合えない。そんな細かいことに関わりたくない。早く帰りたい。
→a)へ
b)なんだろう、この客は。普通に考えてシリアルナンバーは揃うはずないんだけど、それを揃えてくれというのは何か理由があるのだろうか。
→b)へ
→b)
一瞬イラっときたあなたでしたが、同時に何か違和感を感じました。
後で考えると、この違和感は好奇心と言い換えてもよかったかもしれません。
何れにしても、あなたは感覚を信じて、少しこの問題を探究してみることにしました。
一方、会社内のルールもあります。
その内容を問わず、お客様からの要望は一度顧客相談窓口に転送する決まりになっていました。
会社としてはそうしてデータベースを作っている訳です。
各自が勝手にバラバラの対応をしては、ブランドイメージが統一できません。
この力で対応できる限界もあるでしょう。
それを知っていたあなたは、メールを転送すると同時に、
「顧客の住所が帰り道なので直接よって話を聞いてきて良いか?」
という打診をしてみました。
上司と顧客相談窓口がどう考えたのかはわかりませんが、特に問題とは思わなかったようで、あっさりOKが出ました。
実はこの時点では顧客の住所はわかっていなかったのですが、先にOKをとってしまえばこっちのものです。
シリアルナンバーを揃えて欲しいという顧客に連絡を取ってみると、幾つかのことがわかりました。
・帰り道、ではなかったが、会社からは30分程度の場所にある、老舗の料理店である。
・板前のみならず、スタッフ全員が料理に深い造詣を持っていて、それが高品質の元になっていたこと。
・ここ数年は商売が厳しく、売上が落ち続けていること。
・その影響で、一時は50人近くいた料理人・スタッフも15名程度まで減っていること。
・さらに来月にはそこから10人程度減らさなければならないこと。
10分前後の電話だけでも、これだけのことがわかりました。
時間はまだ18時前です。
そのまま店に行くアポイントを取り付けました。
店は一軒家の料亭でした。
老舗なだけあって、格式のある門構えです。
しかし、それほど繁盛しているわけではないことがすぐにわかります。
店の一部は戸を閉めていますし、大きさに比べて、スタッフ数が少ないことも明白でした。
おそらく店の一部のみで営業しているのでしょう。
包丁を購入したのは店の女将でした。
聞けば、来月で辞めてもらう10人(最後まで残った10人ですから、当然ベテランで、長く店に貢献してくれた人々です。)に餞別を贈ろうと考えたそうです。
皆料理好きなので、包丁を贈ろうと。
そして、それぞれに個性があるメンバーだったので、同じ包丁ではなく、一揃えの包丁セットを購入し、一本づつを贈ろうと。
来月には、それぞれの包丁を持ったメンバーが、それぞれの道を歩むことになります。
しかし、同じ店にいた証として、シリアルナンバーを同じにしたいと考えたのだそうです。
女将はもう一度問いました。
「シリアルナンバーを揃えていただくことはできないでしょうか。」
あなたは答えます。
「いいですよ。」
もちろん、そこからの道のりが平坦だっとはいいません。
上司を説得し、製造ラインに説明し、自身の頭もひねりました。
最終的には、現状の連番とは別に、セット用のナンバーを入れることで落ち着きました。
それまでは、十本バラバラに製造している包丁に、製造工程の早い段階で、製造順に「○○○○」という4桁のシリアルナンバーを入れていました。
当然、出荷順に消費されていくので、一定の時点で十本を抜き取っても、バラバラのナンバーです。
どうやらこれを変えるのは難しそうなので、セット用に、「T−○○○○」という別の連番を設けました。
(ちなみに、TはチームのTなのですが、これは伏せておきました。)
また、シリアルナンバーは工程の早い段階で刻印しているのですが、これは昔の名残だということもわかりました。
昔は実際に鑿で削ったり、金具で押し付けたりして、力で刻印していました。
このとき、包丁の柄が付いていると邪魔なので、そうなる前、板に近い状態の金属に刻印していました。
しかし、現在ではレーザー刻印です。
柄が付いていてもあまり支障はありません。
これがきっかけで、製造ラインも少し改良することができるようになりました。
1ヶ月後、十本に同じシリアルナンバーが刻印された包丁セットが納品されました。
先に納品した十本は返品として受け付け、顧客尊重のシンボルとして、会社に飾られています。
・・・とまあ、ここまではなんとなく深イイ話です。
ところでこれ、補助金・助成金ビジネスにどう関連するのでしょうか。
実はしっかり関連、というか、補助金・助成金の鍵となる要素が詰まっています。
次回はその理論をご紹介します。
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