何度補助金の申請しても通らない。
いくら広告しても売れない。
どれだけ話しても理解してもらえない・・・。
何度も営業しても聞いてもらえない・・・。
あまり考えたくない失敗ケースですが、現実には多く起こります。
むしろ多くの失敗ケースの中から数少ない成功が生まれるという程度ではないでしょうか。
事の是非は置いておいて、これらが起きる理由・背景には共通する事実があります。
それは「捉え方は捉える側が決める」です。
BLEACHという漫画があります。
作者は久保帯人といいます。
有名なマンガで、ゲームにもなっています。
そのゲームにはパートナーキャラ（当然漫画の登場キャラクター）と会話して信頼度を上げるというモードが有ります。
そこで久保さんは思い入れのあるキャラクターに一生懸命話しかけるのですが、そのキャラクターの気持が全く理解できないらしく、質問に一つ答えるたびに物凄い勢いで怒られるそうです。
作者なのに、です。
闇の中の翼たち-ブラインドサッカー日本代表の苦闘という本があります。
著者は岡田仁志といいます。
それほど有名というわけではありませんが、パラリンピックの競技でもあるブラインドサッカーを取り扱ったこの本の文章が、関西地方の私立中学の入試に使われたことがありました。
「傍線部の著者の心情を答える」問題を読んだところ、一つも岡田さんの心情を表した選択肢がなかったそうです。
仕方なく模範解答を読んでみると岡田さんの考えとは正反対の選択肢が正解とされていました。
著者なのに、です。
また、大江健三郎はこのような行き違いを嫌って、ペンクラブを通して、自身の文章を入試で使うことを拒否しています。
BLEACHの例で考えると、「捉える」は以下のように行われます。
＜漫画の場合＞
捉えられる人＝作者久保帯人
捉える人＝読者：面白い漫画を求めている。
直接的な関係です。
したがって、好意的に捉えて欲しければ、読者が面白いと思える話を考え、それを描けば良いという事になります。
＜ゲームの場合＞
２段階に分かれます。
・第１段階
捉えられる人＝作者、久保帯人
捉える人＝ゲームデザイナー：売れるゲームの題材を求めている。
・第２段階
捉えられる人＝ゲームデザイナー
捉える人＝ゲーム購入者：面白いゲームを求めている。
間にゲームデザイナー（名称はいろいろあると思いますが、便宜上これで統一します）が入ることで、役割・関係は複雑になります。
ゲーム購入者に好意的に捉えて欲しいと思ったとしても、原作者にできることはあまりないかもしれません。
可能性があるとしたら、ゲームデザイナーに訴えることだけです。
それをするかどうかは別として。
何れにしても、訴えはなかなか届かないものです。
直接的な相手であっても届きにくいものなのに、間に人が入ればなおさらです。
一周まわって自分のところに返ってきた時には原型をとどめていない伝言ゲームはこうして生まれます。
最後に、補助金申請にも当てはめてみましょう。
＜補助金申請の場合＞
２段階に分かれます。
・第１段階
捉えられる人＝申請者、あなた
捉える人＝審査員：採点基準にあった申請書を求めている。
（決して売れる・高機能なものではありません）
・第２段階
捉えられる人＝審査員の採点表
捉える人＝国等：社会貢献（雇用・市場創出）求めている。
やはり間に審査員が入ることで、良い商品＝申請OKとなるとは限らないことがわかります。
あくまで基準に合っている＝申請OKです。
良さを訴えたいのであれば、相手が理解できる、正確に捉えられる方法で説明する必要があります。
そのためには相手（この場合は基準）を知ることが第一です。
「敵を知り」己を知れば百戦危うからずですし、「エトス」・パドス・ロゴスなのです。
正確に捉えてもらうことは期待できませんが、正確に捉えることは自分の努力で可能です。
運に頼るか、努力を重ねるか、その選択権は自分にあります。
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