補助金とは34 「厚生労働省の上」の認可だから安全です???
<血液型占いは非科学的?>
私は血液型占いに科学的な根拠がないことを知っています。
だから、血液型「占い」なのであって、もし根拠がある科学なら、血液型「分析」と呼ばれます。
血液型占いを「信じる」という概念も、少なくとも科学ではないから生まれるものです。
もし根拠がある科学なら、血液型分析を支持する、支持しないという表現になります。
したがって、血液型占いを信じる人を非科学的だと批判することは、それ自体ピントがずれていたりします。
しかし、占いは数多あるのに、なぜか血液型占いだけ「科学的でない」という批判が付きまといます。他の占いで科学的でないことを理由に批判されているものはあまりありません。
「タロット占いは科学的な根拠がないから信じるのはおかしい」
「おみくじは非科学的でよくない」
あまり聞かないセリフです。
これは、血液型という科学的な要素を占いに組み込んだから生まれた違いだと考えられます。
人の脳は、ここまでは科学、ここからは占いというように、明確に区別して認識はしません。
おおよそ全体でこんな感じ、という捉え方を好むので、血液型「占い」は非「科学」的だというハイブリッドが生まれるのです。
<厚生労働省の上?>
さて、つい昨日の話なのですが、とある経営者交流会にて、「厚生労働省の上」が認可した「インフルエンザやO-157を殺す機械」(と称するもの)を販売している方がいました。
曰く、1億2千万円の売上があり、予防接種は不要になり、科学的な根拠は現在の科学がまだ追いついていないから示せないが私を信じて欲しい。とのことでした。
ちなみに、私はこの手の話を否定も肯定もしません。
おかしいなとか、あったらいいなとは思いますが、それは単なる感想であり、感想をもとに否定することは論理的ではないからです。
否定にせよ肯定にせよ、根拠を集めることが必要ですが、そこに割く時間もありません。
感想としては、どこがというわけではありませんが、血液型占いの話に似ているなと思いました。
鰯の頭も信心から。それで救われる人もいるのかもしれません。
しかし、嘘はいけません。
日本の内閣はこのように構成されています。
「厚生労働省の上」というものがあるとしたら、それは内閣(総理大臣)なのですが、内閣が「機械を認可」するということはありません。
冒頭がこの調子ですから、インフルエンザや予防接種以下のくだりも推して知るべしでしょう。その後は誰も近づきませんでした。
<無理やり解を求めると>
一般に、ゼロから1を生み出すことはとても大変です。
それが虚構であったとしても、何もないところから話を創作するのは難儀なものです。
したがって、虚構の作り方は、大きく分けて二つ。
実際よりも大きなものを付け足すか、本来あるべきものを省略するかです。
今回の話、特に「厚生労働省の上」という部分は前者でしょう。
加えて、省略も巧みに使っているようでした。
無理やり話を組み立ててみるとこうなります。
1)事実
「少し前までは、設立に主務官庁(該当しない場合には内閣府)の認可が必要だったが、今では登記のみで設立できる社団法人が運営する協会に所属する会社が販売している機械」
2)省略後
「内閣府の認可する機械」
3)付け足し・置き換え後
「厚生労働省の上が認可する機械」
・・・なるほど。
<ドアは開いているが>
彼の希望は、当該の機械にJTPの補助金認証を出して欲しいとのことでした。
選択肢は二つ。
申請は受理して、審査で落とすか、そっと立ち去るかです。
どちらでも構わないのですが、他に話したい方もいたので、その場はそっと立ち去り、そちらの話を聞くことにしました。
次に彼の話を聞く機会があるかはわかりません。
私の、あるいは、協会のドアは常に開いています。
しかし、その一方で、ドアの前に並んで待っている方もすでにいます。
したがって、一度チャンスを逃したら列の最後尾に並ばなくてはなりません。
並んでいる人が多くなれば、次の順番が回ってくるのはいつになるかわかりません。
せっかく回ってきたのに、となるかもしれませんし、せっかく改善したのに回ってこなかった、となるかもしれません。
何れにしても、結果は自分で引き受けるしかありません。