【確定申告書と決算書と○○】
補助金申請の際に必要となる確定申告書・決算書。
スムーズにやり取りできるよう、会計・税務について、一連の流れをまとめます。
知ってから「このフェーズのこれください」というのと、何も知らずに伝言ゲームで「○○ください」というのとでは、対応力が違ってきます。
1)会計方針の決定
決算日など会計の基準を決めます。
経理責任者、通常は社長の専権事項です。
ここに現金主義・発生主義の選択も含まれます。
ここで決めたルールに従って日々の記帳(=入力)業務を行います。
これも書き始めるとすごく長くなりますし、実はこの前に「会計公準」という私の大好きな話もあるのですが、それはまた別の機会に。
一つだけ掻い摘んで書くと、会計の目的は「報告」だということです。
計算や集計はその手段にすぎません。
2)伝票入力
日々のレシート・通帳・領収証などから入力業務を行います。
これを税理士がやると「記帳代行」と呼ばれ、自社で行うと「自計」と言います。
語源は定かではありませんが、自社で記帳する、の略で自計でしょう。
現状、多くの会社が記帳代行です。
これは歴史的な背景もあり、そのこと自体に是非はありません。
ただ事実としてそうだというだけです。
記帳代行が多い中、やっぱり自計がいいよね、という動きもあり、それを「自計化」などと表現する場合もあります。
ただ、主観の強い専門用語でもあるので、私はあまり使わない単語です。
3)月次試算表の作成
上記2)で1ヶ月分の入力が完了すると、それを集計すれば、1ヶ月分の試算表ができます。
決算とは元々一定期間の成績を実数化することを一つの目的としています。
よって、1ヶ月単位で言えば、ここがゴールになります。
とはいえ、毎月やるのは大変という場合もあるので・・・。
a)税理士などにやってもらう
b)自社でやるが、毎月ではなく、3ヶ月ごとにやる
という2択が現実的な選択肢です。
a)はいわゆる伝統的な税理士業務とされていますが、実は法的に定められたものではありません。
単に会計・集計業務なので「税務」ではないからです。
意外に歴史も浅く、飯塚毅(※)の時代から、長く見積もっても50年くらい前にできた仕組みです。
無論、早く普及する制度・仕組みなだけあって効用は大きなものがあります。
それまでの税理士は、うーんと雑にいうと、確定申告書を書く代書屋さんでした。
つまり、年に1度、事業者との接点ができる(=ビジネスチャンスができる)という仕事でした。
それを、飯塚毅が月に1度に変えました。
これが上記記帳代行のターニングポイントだったわけです。
4)4半期試算表の作成
1ヶ月単位で行うか、3ヶ月単位で行うかの違いだけで、一定期間の成績把握を目的とした集計です。
年初の予定ではこれを作成するというのが目標でした。
経営者に対して自社の状況をいち早く「報告」することが会計の目的です。
その具体的手法が4半期試算表、月次試算表ということになります。
ここで、売掛金などの取引先別管理を行うことができます。
5)年次試算表の作成
月次試算表を12枚集め、集計すると年次試算表ができます。
修正などがなければ、イコール年次決算書になります。
6)年次決算書の作成
上記の5)で誤りや修正がなければ決算書として「ほぼ」確定します。
ほぼ、というのは、ここで作った決算書を元に、税金計算をするのです。
税金計算をする前の、ほぼ完成形の決算書を税前。
税金記載後の最終形を税後と言って区別することもあります。
7)税金計算
上記6)の税前決算書を元に、税金を計算し、確定させます。
確定申告書を作ると言い換えても良いでしょう。
複雑で手間がかかる割には、できることは税金計算だけという、事業者泣かせのフェーズでもあります。
よって、自計化を進めている事業者も、このフェーズだけは税理士に依頼することがほとんどです。
自社の経営判断に必要な情報は、5)までで得られるわけですから、時間がかかる割には得るものが少ない税金計算フェーズをアウトソーシングするという経営判断は妥当だと思います。
8)決算・申告
確定申告書(と一緒に決算書など)を税務署に提出することを確定申告と言います。
1)から7)まで、すべて終わって確定したものを申告しますよ、という意味です。
(※)飯塚毅
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%AF%E5%A1%9A%E4%BA%8B%E4%BB%B6_(TKC)
会計の世界では超有名人ですが、歴史も浅いので評価も定まっていません。
毀誉褒貶あるからか、個人名ではウィキペディアに載っていません。
世の中を動かすとはそういうことなのかもしれません。
私は彼の信者ではありませんが、税理士業界に大きな影響を与えたことは事実として捉えています。
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