出典 http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/14696
保育園や幼稚園には多くの補助金が使われています。
ちなみにですが、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省です。
それぞれ少しづつ制度は違いますが、社会の共通財産である子供を、税金を使って育てようという大きな流れは同じです。
税を使って教育・育児をする、という形や規模は異なってもどの国でもどの時代でもある、スタンダードな方法です。
さて、これらのカテゴリーで最近よく話題になるのは、待機児童です。(※)
従って、補助金を出す大きな目的も待機児童の解消となります。
この場合、目的と手段に分けると次のようになります。
・目的 待機児童の解消
・手段 補助金
至極当然です。
ただし、お金を交付すればその瞬間に待機児童が解消されるわけではありません。
保育園がそのお金を使って何かをしなければ待機児童の解消には繋がりません。
そして、今、待機児童を生み出す最も大きな理由と考えられているのが、保育士不足、そしてその原因である保育士の待遇が悪いこと、です。
だから保育士のなり手がおらず、続かないため、保育園を新設したり、拡大することが難しいのです。(※2)
これらを踏まえて目的と手段を細分化すると・・・
・(最終的に達成したい)目的
→待機児童の解消
・(目的を達成するための)手段
・(手段を実現するための技術的な)手段
→補助金を使って保育士の給料を上げる
・・・となります。
問題の根本を保育士の不足、あるいはその理由である保育士の待遇の悪さに求めているということになります。
では、どうすれば効率よく保育士の待遇を改善できるでしょうか。
こうした問題に最も効果的なのは「底上げ」です。
保育士の中でも待遇には差がありますから、待遇の悪い保育士を優先的に補助することが効果的です。
他の業界と同じく、大手に勤めている保育士より、中小零細規模に勤めている保育士の方が金銭的な待遇はよくない傾向にあります。
ということは、中小規模の保育園に補助をすれば、問題解決に最も効果が期待できます。
しかし実際にはそううまくいきません。
そしてさらに問題が複雑なのは、体力がある大手が補助金を集めた結果、(当初の目的である)保育士の待遇が改善されている可能性があるという点です。
相対的に見て、保育士の待遇は改善されているといえます。
このパラドックスを分解するために、補助金を受け取る保育園が「大手」の場合と「中小」の場合とで分けて考えてみます。
甲乙つけがたい、あるいは、税の使い道ということも踏まえて三すくみ、と言えるかもしれません。
しかし政治とはそういうもの。
100点満点の回答はなく、51点と49点との選択をするものです。
だとすれば、良い部分はそのままでもちろん良いのですから、悪い面をどう改善するか、あるいは「どちらから」改善するかという命題になります。
自由経済や信賞必罰の原則に従えば、具体的には次の2択になるでしょう。
1)運転資金に使った場合の罰則を設ける
2)運転資金に使わずとも済むように経営改善を後押しする
北風と太陽です。
1)は官が、2)は民が、それぞれ担うのに適しています。
(逆の役割分担を考えると明白です。)
タックスプランナーも補助金申請支援も、具体的にはこのために存在します。
もっといえば、これを担えないなら、ただのお飾り、趣味に過ぎないわけです。
注射一本で全ての病気を治せるはずもありませんが、だからと言って注射が否定されるものでもありません。
補助金という注射で、実は保育士の待遇は多少なりとも改善しています。
大手にいればそれだけで、中小にいても大手への転職の自由はあります。
また、大手もその力を使って潤います。
問題を細分化したとき、取り残されているのは中小保育園(の経営者)です。
(※)実は待機児童自体は昔からいたのですが、それほど問題視はされていませんでした。
もっと他に切実な問題があったからです。
年金なども同じで、昔からなんら状況は変わっていません。
他に心配することが徐々に減ってきたので、将来のことを気にするようになったというだけです。
(※2)
なお、この構図は看護師の不足に似ていますが、同じように不足している職業なのに、保育士と看護師の待遇には差があります。
これは政治も絡む興味深いテーマですが、本題から逸れますので、別に取り扱います。
(※3)
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