「管理会社さんが募集している形ですか？」

とあるワンルームマンションの空室対策を相談した際、（自称）空室対策のプロに聞かれた質問です。
一字一句違わず書きました。
いかがでしょう。何を聞かれているかわかりますでしょうか。

少し解説しますと、ワンルームマンションの「管理」はおおよそ２種類あります。

一つは建物の維持管理を行う管理、例えば清掃や外壁の保全など、いわゆる管理人さんの仕事です。
ワンルームマンションの管理というと、多くはこちらを想像するのではないでしょうか。

しかし、実は管理にはもう一つあります。
それは賃貸管理です。
賃借人を探してきたり、賃借人募集の広告を出したりします。
いわゆる不動産屋さんです。
これを管理と呼ぶのが適切かどうかという疑問はあるのですが、募集後も家賃の集金を行う場合もあるので、それを「管理」として、そう呼んでいるようです。

これらを総合すると、冒頭の質問は、おそらく後者の「管理」業者が賃借人募集をしているのか？
という意味と推察できます。

これらの前提を理解していて初めて、正確に答えられる質問です。
ロジック的には定義不足で複数の正解が生じうる問いです。

また、実はこの質問者には資料を提示していました。
すでに賃借人募集を開始していたので、募集チラシがあります。
部屋の賃貸借に必要な事項は当然全て書かれています。
その中には「管理会社が募集している」という情報も、もちろん含まれています。

つまり、「読めばわかることを質問した」ということでもあります。

まとめると、

・定義不足の質問をしている
・見ればわかることを質問している

ということになります。

ときに、この質問者は営業に苦戦しているそうです。
年間５００件の目標に対し、半年で５０件程度の進捗とのことでした。
この件数が何の件数なのかはさておき、進捗がいまひとつということは明確です。

なぜいまひとつなのか、それは上記の質問に凝縮されています。

補助金・助成金ビジネスでも、ヒアリングは重要な要素です。
その多くは質問で構成されます。
たいていの場合、質問すれば、答えは返ってきます。
しかし、それがビジネスとして成立するかどうか、顧客に満足を与えられるかどうか、それは質問の内容に依存します。

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