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2017年04月06日

補助金とは86 無罪保証の価値

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Aさんの父親は大変な資産家ですが、病院で寝たきりです。
病は進行しており、点滴で生命を維持しています。
点滴がなければ数10分で危険な状態になりますが、その苦痛から身をよじって、しばしば点滴が外れてしまうほどです。
また、Aさんは会社を営んでいますが、赤字が続いており、近くまとまった資金が必要です。
父親が亡くなった場合、Aさんは唯一の相続人になります。
Aさんはあなたにつぶやきます。
「何とかならないかな。」
と。
聡明なあなたはその意味を理解しました。
どうすればよいか、どうなればよいかと考え、事故が起きることが望ましいと結論付けます。
そして次のような計画を立てました。
1)Aさんと一緒に見舞いに行く。
2)Aさんは食事に行く。あなたが病室に残るので安心してゆっくり食べに行く。
3)あなたはAさんが食事に行ったとは思わず、すぐに戻ると思っていたので部屋を出て長電話する。
4)看護師か医師が巡回しに来たときには点滴が外れている。
うまくいけば、これでAさんの会社は「何とかなる」でしょう。
しかし、問題もあります。
しばしば点滴が外れているとはいえ、3)と4)の間にちょうど外れる保証はありません。
つまり、あなたが部屋を出る前に外す必要があります。
普段から点滴が外れることはあったし、周知の事実なので、あなたが外してもそれが故意だとは誰も思いません。
不幸な事故として処理されます。
いわば、無罪保証の殺人です。
報酬は十分な額を用意してもらえそうです。
あなたはこの計画を実行に移すでしょうか。
選択肢は二つです。
(1)バレない保証があるので実行する。
(2)バレるかどうかの問題ではないので実行しない。
(1)で得るものは報酬。それも十分な額の。失うものは道徳やモラルといった類のものです。
(2)で得るもの失うものは(1)の正反対ということになります。
言い換えると、(1)は、バレるかどうかという「自分以外の者の評価」を基準に判断するということになります。
(2)だと、実行するかどうかという「自分の行動」を基準に判断するということです。
ともあれ、この設問だと多くの人は(2)を選びそうです。
何といっても人命ですから、いくら無罪保証といっても、そうそう実行は出来ないでしょう。
では、「絶対にバレない脱税」だったらどうでしょうか。
補助金でも助成金でも節税でもなく、犯罪となる脱税です。
しかし、バレませんので無罪保証です。
やはり実行しないという人も多いでしょうけれども、上記に比べれば、実行する人が増えそうです。
どちらも無罪保証なので、リスクは同じゼロなのにです。
ここに、お金で割り切れない、人の心の複雑さがあります。
要は、犯罪を犯すときでさえ、いい人でいたいのです。
人を殺めてしまえば、被害者が明確に形に残ります。
一方、脱税であれば、被害者は曖昧になります。
罪の意識はその分希釈されるでしょう。
「何とかならないか」と言ったAさんも同じです。
自分で計画を立てたり実行者になることは避けています。
不道徳な結果を得てなお、いい人でありたいのです。
呆れる話ではありますが、より罪の意識が薄い選択肢ならさらに対象は増えそうです。
そうすることで、何かと折り合いをつけているのだと思いますが、少し寂しい話でもあります。
今日のまとめ
〜損得以外の価値観はあるか〜